フィルムは記録する

覺めよ國民

人口問題、貿易赤字、食料・資源不足などの当時の社会的経済的状況への危機意識を喚起し、挙国一致の生活改善、能率増進、冗費節約、国産愛用、勤倹力行への国民の自覚を促す啓蒙宣伝映画。怠惰と浪費に陥る人々や難局を背負う日本を擬人化した演出場面などを交えつつ、様々な統計を図表や模型を使って解説する。監督の井上麗吉は新進キネマ、撮影の勝本貞友は勝本映画製作所とそれぞれ自身の会社で教育映画製作を行っていた。

作品詳細

作品番号
ST000178
映画題名
覺めよ國民
映画題名ヨミ
サメヨコクミン
製作年月日
1929
時間(分)
30
サウンド
サイレント
カラーの種類
白黒
製作会社
文部省
配給会社
文部省
スタッフ
井上麗吉[監督]勝本貞友[撮影]
検閲番号等
1929年10月10日
D12118、日、現、宣、其他、覺めよ國民、2巻、615m、文部省(製作者)、文部省社會敎育局(申請者)、免
同日に同題名のフィルムの検閲記録が上記を含め6件ある。
フィルム映写速度
18
備考
元素材は、1968年度にアメリカ議会図書館より返還された35㎜可燃性ポジフィルムを不燃化した35㎜デュープネガ。
検閲時報の記載と比べると、元素材である上述のフィルムの尺長は612.355mであることから、ほぼ完全版であると考えられる。
参考文献(『国際映畫新聞』)には、文部省は本作(2巻)と国対発揚の宣伝映画『日出づる國』(3巻、長倉祐孝監督)および緊縮宣伝のアニメーション作品『二つの世界』(1巻、村田安司監督)を製作、各60本づつのプリントを作製し、「これを敎化總動員の一事業として全國の敎化團體へ無代配布」したとある。また参考文献(『映畫敎育』)によれば、3作品53組の上映プリントは1929年10月12日から12月28日までの約70日間で全国で2,402回映写され、その観覧者総数は2,169,301人とある。
参考文献
「新作映畫 解説」(文部省社會敎育局編『文部省敎育映畫時報 2 昭和四年十二月』、1929年)1-13頁
「彙報/文部省大出來 敎科總動員用映畫三種 各地で大人氣歡迎さる」(『國際映畫新聞』第三十三號、1929年)2頁
文部省『教育映畫目録』(1930年)巻末附録「文部省製作活動寫眞フィルム目録」14頁
「敎化總動員における文部省敎化映畫 公映の成績」(『敎育映畫』第廿八輯、1930年)25頁
文部省社會敎育局『昭和七年七月改正 文部省製作活動寫眞フイルム目錄』(1932年)9頁、46頁
文部省『教育映畫研究資料 第十八輯 本邦映畫教育の發達』(1938年)「文部省製作映畫年度別」68頁