フィルムは記録する

天皇陛下関西行幸

1929年5月28日から6月9日にかけて行われた八丈島・大島、和歌山および大阪・神戸への行幸の際の記録。元素材にはトップ、エンド、クレジットなどタイトルは一切なく、白浜と串本を訪れた部分のみが残されているが、元素材の35mmフィルムの尺長490.765mに対し検閲の記録は580mと欠落部分は90m弱であることから、本作は当初から和歌山訪問を中心に構成されていた可能性がある。白浜では京都帝国大学附属臨海研究所訪問のほか、海藻の観察のために和船で海上に出る様子など生物学者としての昭和天皇の一面を映し出す。軍服と洋服を着替えることで、その時々の立場の違いを示していることが分かる。神島上陸時には御進講を行うことになる南方熊楠の姿が見られ、串本では潮岬で昭和天皇が同行者たちと談笑する姿も捉えられている。

作品詳細

作品番号
ST000206
映画題名
天皇陛下関西行幸
映画題名ヨミ
テンノウヘイカカンサイギョウコウ
製作年月日
1929
時間(分)
24
サウンド
サイレント
カラーの種類
白黒
製作会社
文部省
配給会社
文部省
検閲番号等
1929年8月13日
D9319、日、實、時事、天皇陛下關行幸、2巻、580m、文部省(製作者、申請者とも)、免
D9320、日、實、時事、天皇陛下關行幸、2巻、580m、同(製作者、申請者とも)、免
フィルム映写速度
18
備考
元素材は、1971年度に文部省より管理換された不燃性35㎜デュープネガより、2004年度に作製した35㎜上映用ポジフィルム。映画題名は素材上では欠落しており、管理換時の資料と参考文献を典拠にした。
参考文献
文部省『敎育映畫目錄』(1930年)巻末附録「文部省製作活動寫眞フィルム目録」14頁
文部省社會敎育局『昭和七年七月改正 文部省製作活動寫眞フイルム目錄』(1932年)4頁、46頁
文部省『敎育映畫硏究資料 第十八輯 本邦映畫敎育の發達』(1938年)「文部省製作映畫年度別」68頁
薮下泰次「文部省映画製作現場の思い出」(東京国立近代美術館フィルムセンター編『FC フィルムセンター11 日本の記録映画特集―戦前篇⑴』東京国立近代美術館、1973年)14-15頁
『昭和天皇実録 第五』(東京書籍、2016年)367-371頁