フィルムは記録する

内務省指定天然紀念物 三雲村美松自生地

「史蹟名勝天然紀念物保存法」(1919年制定)に基づいて1921年3月に「天然紀念物」に指定された滋賀県の「三雲村美松自生地」を、周辺の景観や地元住民の姿とともに収める。双眼鏡のようなマスクが美松に視線を向ける効果をあげている。三雲村は現在の湖南市平松にあたる。現在の指定名称は「平松のウツクシマツ自生地」。

作品詳細

作品番号
ST000201
映画題名
内務省指定天然紀念物 三雲村美松自生地
映画題名ヨミ
ナイムショウシテイテンネンキネンブツ ミクモムラウツクシマツジセイチ
製作年月日
1921-1928
時間(分)
5
サウンド
サイレント
カラーの種類
白黒
製作会社
内務省
検閲番号等
1928年4月6日
C3441、日、實、敎、三雲村美松自生地、1巻、111m、内務大臣官房地理課(製作者、申請者とも)、免
フィルム映写速度
18
備考
元素材は、国立映画アーカイブ所蔵の35㎜不燃性デュープネガより作製した35㎜上映用ポジフィルム。
検閲時報の記載と比べると、元素材である上述のフィルムの尺長は110.679mであることから、完全版と考えられる。
参考文献(『史蹟名勝天然紀念物』)によれば、内務省では1920年に「活動寫眞機」2台を購入し、史蹟と天然紀念物所在地の撮影を始めている。「内務省指定天然紀念物」の共通題名を持つ所蔵作品は、1928年に「史蹟名勝天然紀念物保存法」の所管が内務省官房地理課から文部省宗教局保存課に移されるまでに製作されたと考えられる。本作の検閲記録は1928年に確認できるが、「天然紀念物」としての指定時期を考慮すれば製作時期が早まる可能性もあることから、製作年を「1921-1928」とした。
参考文献
「内務省にて史蹟名勝保存の宣傳 =活動寫眞に撮影=」(『史蹟名勝天然紀念物』第四卷第四號、史蹟名勝天然紀念物保存協會、1920年、[復刻版]不二出版、2003年)48頁
三好學、吉井義次、中野治房『天然紀念物調査報告 植物之部 第一輯』(白鳳社、1925年)138-142頁
亀井幹夫、中越信和「国指定天然記念物 (植物) の指定方針とその変遷」(『ランドスケープ研究』2000年64巻5号、日本造園学会、2001年)391-396頁