フィルムは記録する

復興中の大東京 中野城西舘附近

現在の中野区中央3丁目にあった映画館城西館とその周辺に焦点を当て、復興よりも地域紹介に主眼を置いた一種の地域宣伝映画といえる。自動車部品販売店、薬局、ミシン販売店、足袋屋、銘仙専門店、菓子店、撞球場、理髪店といったさまざまな店舗のほかに、中野の地場産業のひとつでもあった蕎麦製粉所や東京中野銀行の建物、都電になる前の西武鉄道新宿軌道線などが映し出され、この地域の貴重な記録となっている。最後に登場する城西館の入口上部には、一部文字が隠れているものの「松竹直營蒲田映畫と阪妻時代劇」の文字が読み取れる。看板と幟から『炎の空』(1927年、清水宏監督)が上映中であること、また立て看板に書かれた「大観艦式」は1927年10月30日の昭和天皇による海軍特別大演習観艦式行幸を伝える作品の上映告知と考えられる。

作品詳細

作品番号
ST000193
映画題名
復興中の大東京 中野城西舘附近
映画題名ヨミ
フッコウチュウノダイトウキョウ ナカノジョウサイカンフキン
製作年月日
1927
時間(分)
4
サウンド
サイレント
カラーの種類
白黒
製作会社
東京高級映畫製作所
検閲番号等
1927年11月17日
B14051、日、實、宣、其他、復興中の大東京中野城西館附近、1巻、76m、東京高級映畫製作所(製作者、申請者とも)
フィルム映写速度
16
備考
元素材は、2014年度に公益財団法人東京都慰霊協会より受贈した35㎜可燃性ポジフィルム。
検閲時報の記載と比べると、元素材である上述のフィルムの尺長は74.066mであることから、ほぼ完全版であると考えられる。また、検閲時報には東京高級映畫製作所の製作で「復興中の大東京」という共通の題名を持つ複数の作品の検閲記録が確認できる。『復興中の大東京』(11月8日)『復興中の大東京北千住町中組改正道路千壽劇場附近の發展振り』(11月15日)『復興中の大東京深川區猿江四の橋廣得館附近』『復興中大東京千住大橋より南千住驛に至る各店の繁栄振り』(以上、11月17日)『復興中の大東京本所區綠町三ツ目通り附近』『復興中の大東京淺草橋附近と神田富松町附近』(以上、11月22日)。