フィルムは記録する

大正天皇御大喪の御儀

1927年2月7日から8日にかけて執り行われた大正天皇の大喪儀の記録。柩を載せて牛にひかれた轜車(じしゃ)の葬列が皇居を出発して葬儀殿が設置された新宿御苑に向かう前半と、柩を載せて輿丁に担がれた葱華輦(そうかれん)の列が東浅川の深夜の道を陵墓に向かう後半で構成される。撮影は文部省と宮内省合同による本作のほかに、全国新聞通信社と大日本活動写真協会からなる謹写団によっても行われた。参考文献(『大正天皇御大喪儀記錄』)によれば、葬列の撮影についてはスチル写真も含めて許可証が交付され、撮影従事者は左胸に徽章を付けることとされた。撮影場所は市内では「赤坂區葵町舊東伏見宮邸前」、浅川では「東浅川橋ヨリ御陵ニ向ケ約一町ノ右側高臺」とされ、撮影従事者は鹵簿通過の2時間前までに到着することを求められた。また、新宿御苑内、御陵内、御苑と東浅川の各仮駅構内の撮影は一切許可されなかった。

作品詳細

作品番号
ST000181
映画題名
大正天皇御大喪の御儀
映画題名ヨミ
タイショウテンノウゴタイソウノオンギ
製作年月日
1927
時間(分)
17
サウンド
サイレント
カラーの種類
白黒
製作会社
文部省、宮内省
配給会社
文部省
スタッフ
文部省[謹寫]藤波健彰[撮影]岩村友三[撮影]内田斉[撮影]薮下泰次[撮影助手]
検閲番号等
1927年2月10日
B1947、日、實、時事、大正天皇御大喪儀、1巻、300m、文部省(製作者)、東京シネマ商會(申請者)、新
B1948、日、實、時事、大正天皇御大喪儀、1巻、300m、同(製作者)、同(申請者)、複一
フィルム映写速度
16
キーワード
皇室
備考
元素材は、1967年度にアメリカ議会図書館より返還された35㎜可燃性ポジフィルムを不燃化した35㎜デュープネガ。
トップ・タイトルでは表示されないが、各参考文献の記述から文部省と宮内省の共同製作と判断した。
検閲時報の記載と比べると、元素材である上述のフィルムの尺長は299.055mであることから、ほぼ完全版であると考えられる。
参考文献
『大正天皇御大喪儀記錄』(警視廳、1928年)515-526頁
文部省『敎育映畫目錄』(1930年)巻末附録「文部省製作活動寫眞フィルム目録」7頁
文部省社會敎育局『文部省製作活動寫眞フイルム目錄』(1932年)4頁、41頁
東京国立近代美術館フィルムセンター編『FC フィルムセンター11 日本の記録映画特集―戦前篇⑴』(東京国立近代美術館、1973年)9頁
薮下泰次「文部省映画製作現場の思い出」(東京国立近代美術館フィルムセンター編『FC フィルムセンター11 日本の記録映画特集―戦前篇⑴』東京国立近代美術館、1973年)14頁
藤波健彰『ニュースカメラマン 激動の昭和史を撮る』(中央公論社、1977年。文庫版は1980年)28-31頁[文庫版]
『大正天皇実録 補訂版 第六』(ゆまに書房、2021年)364-371頁